CMA かこばなし by norihiro

◆うちの子のエリアス君とその精霊ルゼルさん、幼馴染みのハロルド君、召喚師のヴィクターさんの過去話です。エリアス君がルゼルさんと契約するきっかけになったお話です。
※長過ぎてコメント欄まではみ出してます。PCからコメントしてるので、お手数ですがインターネットブラウザもしくはPCスマホからご覧下さい!
#CMA#CMAMC#CMAMCcollabo

◆お話の前に登場人物の関係をご説明
・エリアス( #CMAelias)…ハロルドとは幼馴染。精霊ルゼルと契約している。幼い頃にモンスターだったルゼルに襲われた所を召喚師ヴィクターに救われる。襲われた際にルゼルの魔力が傷口から入り込み自身の魔力と混ざってしまった。
・ハロルド( #CMAharold)…エリアスとは幼馴染。エリアスと同じくモンスターに襲われそうになった所を召喚師ヴィクターに救われている。
・ルゼル( #CMAlezele)…エリアスと契約している精霊でCMAの専属精霊でもある。かつては悪魔のような見た目をした凶暴なモンスターだった。幼いエリアスとハロルドを襲い、召喚師ヴィクターに退治された。その後彼の研究によって魂を強制的に精霊に進化させられ、エリアスと契約させられた。ヴィクターやエリアスの事は嫌いだが魔法道具で拘束されている為逆らえない。
・ヴィクター( #CMAMCvictor)…精霊について研究する為に世界中を旅している召喚師。研究の為にたまにサンクトシュテットに立ち寄る。エリアスとハロルドの命の恩人で、退治したルゼルの魂を精霊に進化させた。
・エリアスとハロルドの両親…ご近所さんでエリアスが生まれたときから家族ぐるみで長い付き合いがある。エリアスの父は鍛冶屋、ハロルドの父は城に仕える魔法騎士。

ざっとこんな感じです。詳しく知りたい方はそれぞれのキャラシをご確認下さい。
それでは、以下に過去話ですー。

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春の日差しが心地よい昼下がり、トランキリテの城下町に住む少年エリアスとハロルドは今日も遊びの計画を立てていた。

「エリアス、今日はちょっと遠くの森まで行ってみようぜ!」
「でもハロルド、母さんがあんまり遠くには行っちゃダメだって…」
「大丈夫だよ!俺たちだってそんなに子供じゃないんだぜ?」
「でも…森は危ないよ」
「エリアスは恐がりだなー。男なら冒険の1つや2つやってやろうぜ!いざとなったら俺が守ってやるから、な?」
「う、うん…」

『子供だけで森に入っては行けない』とはいつも言われていた事だが、この時ばかりは恐怖より好奇心が勝ってしまった。
2人はいつもの遊び場とは別の方角へ進む。街を少し外れたその先には深い森があった。
森へ足を踏み入れると、そこは鬱蒼としていながらも木漏れ日が差し込み、時折動物達が木々の間を駆け回る様子は2人の目には楽しげに映った。

暫く進むと木々に囲まれた開けた場所に出た。
小さな赤や白の花がまばらに咲き、先程までの光景が嘘だったかの様に静かな空間だ。

「ここ、広いのに何も無いね」
「そうだな…動物達もいなくなっちゃったし」
「もしかしてこの場所のこと知らないのかな?」
「なら、連れてきて一緒に遊ぼうぜ!」

そう言って今来た道を戻ろうと踵を返すと、2人は動物達がそこにいなかった理由を嫌でも察した。

▼▼コメント欄に続きます▼▼

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painted on a Nintendo 3DS
01 May, 2016, 7:49 am
02:17

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norihiro

01 May, 2016, 8:05 am

目の前には全身を覆う赤い体毛、獅子のような鬣、蜷局を巻く黒い角、鋭い金色の目、見上げるほどの巨体を持つ悪魔のような風貌の魔物が行く手を阻んでいた。
牙を剥く口元や鋭い爪を持つ手は生物の血で赤く染まっている。
嫌に静かなこの空間は、凶暴な魔物の縄張だったのだ。

恐怖で一瞬足が竦んだが、ハロルドは怯えるエリアスの手を取り魔物から逃れようと一目散に駆け出す。
しかし図体に似合わず魔物の足は素早く、瞬く間に追いつかれてしまった。
振り翳された爪は、幼い体をいとも簡単に吹き飛ばす。

「うああっ!」
「エリアス!」

飛ばされた先にあった大木に背を打ち付け力なく横たわるエリアスの額からは、夥しい量の血が滴っていた。

ああ、あの時自分が森に誘ってさえいなければ。
後悔の念に襲われたハロルドは動けないエリアスを魔物から庇うように抱き込み、次の衝撃に怯えきつく目を閉じた。
背後で魔物が動く音がする。最早これまでだと、ハロルドは泣きながら何度もエリアスに謝った。

「うう…ごめんなエリアス…守ってやるって言ったのに…おれ…おれ…」

悔いる背中に、無情にも血濡れの爪が振り翳される。

しかし、その爪は獲物に届く事は無かった。
甲高い金属音と共に、赤い身体が鈍い音を立て崩れ落ちた。
ハロルドがゆっくりと顔を上げると、そこには先程魔物を切り裂いた剣を鞘に納める、空色の髪の青年が立っていた。
手には赤く光る炎のような物体が入ったビンを持っている。
魔物は青年に折られたであろう角の先から禍々しい炎を燃え立たせ息絶えていた。

「大丈夫かい?ダメじゃないか、こんな森の深くに子供だけで…」
「うっ…うっ…ごめんなさい…おれのせいでエリアスが…」
「…っ!大変だ、すぐに医者に見せよう!応急処置は私がしてあげるよ」

~~~~~~~~~~

norihiro

01 May, 2016, 8:06 am

青年は血塗れの2人を抱えて城下町まで走り、彼らの両親に事情を説明した後エリアスを医者のもとに連れて行った。
ハロルドは当然ながら両親にこっぴどく叱られたが、エリアスの事が心配で反省もそこそこに病院へと急いだ。

病院に着くと今まさに手術中だった。手術室の前でエリアスの両親と一緒に椅子に座り待っていると、先程の青年が現れた。
ハロルドは青年に飛び付き尋ねる。

「ねえ、エリアスは?エリアスは治るの?」
「大丈夫。傷は深いけど、この国の医者ならあの子を治せるよ」
「そうなんだ、よかった…!」
「……完全に元通りには出来ないかもしれないけど」
「?」

青年の言葉は最後まで聞き取れなかったが、とにかく無事ならしい。ほっと胸を撫で下ろした。
そこにハロルドの両親が駆けつけ、エリアスの両親に深々と頭を下げ詫びた。

「ハロルド君のせいじゃありませんわ。さ、顔をお上げになって」

エリアスの母は困った様に笑って言うと、ハロルドの両親にも手術が終わるまで一緒に待ってもらう様に頼んだ。

「それでは、私はこれで」

空色の髪の青年が腰を上げると、エリアスの母親が引き止める。

「待って!子供を救ってくれたお礼がしたいの」
「いいんですお礼なんて。…私は召喚師のヴィクター。原因は分かりませんが、ここ数年で森の深くに住む魔物が凶暴化している様です。どうか気をつけて」

ヴィクターは精霊の研究の為に世界を巡る旅人で、先程の森を調査した後次の目的地へ向かうようだった。
怪我をしたエリアスの容態が気になるのでまた立ち寄らせてもらうと言い、トランキリテを後にした。

「さっきの魔物の魂、なかなか強い魔力を持っているな。これで今度こそ…」
ビンの中で揺らめく炎を眺めながら、ヴィクターは上機嫌で旅路についた。

~~~~~~~~~~

数日後、エリアスが意識を取り戻したと聞いたハロルドは病院へと急いだ。
病室につくと、頭に包帯を巻いたエリアスがいた。ベッドで半身を起こし本を読んでいる。
思っていたより元気な様で安心したハロルドはエリアスに駆け寄るが、以前の彼とは違和感があった。

「どうしたんだその髪!!…何とも無いのか!?」

あの魔物に傷を付けられた付近の前髪が燃えるような緋色に染まっていた。

「ハロルド、来てくれてありがとう。…何とも無いわけじゃないけど、今は平気」

力なく笑うエリアスに、ハロルドはまっすぐと問う。
「ホントに平気か?……隠し事はして欲しくないぞ」

「…えっと…その……魔法、上手く使えなくなってるみたいなんだ…」
「なんだって!?」
「お医者さんはあのモンスターのせいだって言ってた。…あいつの魔力が俺の中に混じったんだって。俺が魔法を使おうとすると身体の中から邪魔してくるんだ」
「そんな……やっぱり俺、あの時森に行こうなんて言わなければ良かったんだ…そしたらこんな事には…うっ…うう…」
「泣かないでハロルド!俺が頑張って練習すれば元通り使える様になるって言ってたから。俺、頑張るから…!」

泣きじゃくるハロルドの顔をタオルで拭ってやりながらエリアスはそう言った。

「…じゃあ、練習つき合ってやる!それで、俺も魔法練習して強くなる!強くなって…エリアスを守ってやる!」
「俺だってハロルドに負けないくらい強くなる。守ってもらわなくても大丈夫なように!」
「なんだよー!守ってやるって言ってるじゃん!」
「いやだ!俺も強くなりたい!」

「こらっハロルド!エリアス君ケガしてるのに喧嘩しちゃダメでしょ!」
「いってー!!」
ハロルドはいつの間にか病室に来ていた母親にげんこつを貰いながらも、2人で誓った約束を必ず果たそうと意気込んだ。

~~~~~~~~~~

norihiro

01 May, 2016, 8:13 am

あの事件から幾年が過ぎ15歳になったエリアスの元に、かの有名なカラーズ魔法学園からの招待状が届いた。
ハロルドは昨年同じ様に招待状を貰い既に入学していたので、エリアスも早く追いつこうと張り切っていた。
そのタイミングを見計らったかの様に、召喚師ヴィクターがエリアスの元を訪れた。

「やあエリアス君久しぶり。元気そうで何よりだよ」
「あっヴィクターさん、お久しぶりです!最近来られないので家族で心配していたんですよ」
「あはは…それは済まない事をしたね。ちょっと研究所にこもってたんだ。そして、コイツを君に渡そうと思ってね」

そう言うとヴィクターは古めかしい魔導書を取り出し、何事かつぶやき始めた。
すると魔導書から赤い炎が溢れ出した。徐々に生物らしき姿に変化していくその炎に、エリアスは我が目を疑った。

人に似た姿をしているが、赤い体、黒い角、鋭い金色の目…あの時幼い自分を襲った忌々しい魔物だとすぐに分かった。

「驚いたかい?そう、この精霊はあの時の炎の魔物だよ!“ルゼル”と名づけたんだ!やっぱり魔力が混ざってるからすぐ分かったのかな?」

青ざめたエリアスの反応は想定内とでも言う様に陽気に答える彼の目は、嫌という程輝いていた。

「実はね、君を助けた時あの魔物の魂を頂いてたんだ。人工的な精霊を生み出す為の材料としてね」
「い、いつのまに…というか、人工的な精霊とは一体…?」
「それについては私が大学に入る前からず~~~っと研究していたんだ。あ、あの時魔物の魂の他に君の血液も貰ってたんだ。精霊の形を安定させる為に生物の魔力を混ぜる必要があってね、丁度炎の魔力を持った子がいて助かったよ~。見た目は元の魔物からちょっと変わっちゃったけど、おかげで実験は大成功さ!ありがとうエリアス君!」

ヴィクターはエリアスの手を握り、千切れんばかりの握手を交わす。
エリアスは興奮した様子で早口に話すヴィクターにたじろぎながらも、少し落ち着いた所で改めて精霊を見た。
怪我が治った後見に行った魔物の死骸と同様に、精霊の角も片方折れていた。
自分を切り付けたあの爪も、忘れられるはずが無かった。

「話がそれちゃったね。それで本題なんだけど…この精霊と契約して一緒にCMAに連れてってくれないかい?招待状と魔法石、届いてるんだろう?」
「ええっ!!?」
「人工的に生み出した精霊の魔力を安定させる為には、作り出す時に一緒に混ぜた魔力を持った者の近くにいないとダメみたいなんだ。それに、君の中に混ざった魔物の魔力を暴走させない為にもコイツを側に置いていた方がいいみたいだよ」
「そうなのですか?…よく分かりませんが…」
「そうなんだよ!コイツの魔力が暴走しない様に制御する装置を体中に付けているんだ。今はまだ完全には安定させられないけど、いざとなったら私が助けるから!この通り!」

ヴィクターは必死な様子で顔の前で手を合わせて頭を下げた。
命の恩人の必死な様子に、エリアスの中にあった多くの迷いは吹き飛んでしまった。

「…分かりました。優秀な魔法使いになる為に、その精霊と契約させて下さい」
「あ、ありがとう…!じゃあ君の魔法石をちょっと出してくれ」

言われた通りにCMAから送られてきた魔法石を手に載せて差し出す。
ヴィクターが魔法石に手をかざすと一瞬赤く輝き、冷たかった魔法石が自分の体温になじむ感覚があった。これで契約完了らしい。
エリアスは改めてルゼルと名づけられた精霊に向き直る。

「こ、これからよろしくな、ルゼル。一緒にCMAで修行に励もうじゃないか!」
「…ケッ。誰がてめえみたいなガキに従うかよ。身体も魔力もちんちくりんじゃねーか」
「なっ!!?失礼な!!!魔力の事は元はと言えばお前が…!」

エリアスはルゼルに開口一番罵られ、早くもこの先が不安になってきたと頭を抱えた。
すると、端からやりとりを見ていたヴィクターがやれやれと言った感じで徐に手をかざした。

「こーら、口が悪いぞルゼル!」
「うぐおっ!!」

突然ルゼルが勢いよく頭から地面に落ちた。先程の制御装置という物らしい。
魔力を込めると作動するんだよ、とにこやかに説明するヴィクターにエリアスは少し鳥肌が立った。
ルゼルは土まみれになりながら恨めしそうに2人を睨みつけている。

こうして、魔法使いの卵エリアスと生まれたての精霊ルゼルの波乱に満ちた学園生活が幕を開けたのであった。

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norihiro

01 May, 2016, 8:15 am

◆そんな感じでエリアス君とルゼルさんは契約したんですというお話。長ったらしくてすみません…ノリノリで書いてたらこんな事に…orz

エリアス君の怪我をきっかけにハロルド君は手荒い事を好まなくなり、消極的な性格だったエリアス君は目標に向かってがむしゃらに努力する様になりました。
ヴィクターさんは研究の為なら多少の犠牲は付き物だよね!といった感じで無理を通す困った大人です。でもルゼルさんがいないとエリアス君の体内の魔力がヤバいのは本当です。
エリアス君とルゼルさんはお互いの魔力の一部を不安定な感じで共有しあっています。どちらかの魔力のバランスが著しく崩れると体調が優れなくなり、身体的に影響があります。ルゼルさんはひよっこ精霊ですが魔力だけは大量にあるので、勝手に流れ込んでくる魔力をエリアス君が受け止めきれない事もしばしば。しかしずっと鍛錬を続けていけば自然と魔力は安定してくると思われます。がんばれがんばれ(他人事)

完全に自己満な過去話ですが、交流ネタにでもお使い頂ければと思います。
ここまでお読み頂きありがとうございました!

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